ドイツ発「外付けブラインド」が日本の省エネと快適空間を変える
掲載開始日:2016-02-08 00:00:00.0
住宅とエネルギーを取り巻く環境は大きく変化しています。それはオフィス、学校、病院、公共施設などの建物全般に言えることです。建設・建築業界で、キーワードとしての「省エネ」が叫ばれる昨今、「遮熱」はその代表的なテーマ。室内を快適にするためにどう遮熱するか?その対策の一つが、窓の外にブラインドを設置する「外付けブラインド」です。聞き慣れない言葉ですが、実は、私たちの身の回りの最新のビルや住宅にも徐々に浸透しています。ドイツ発の快適技術「外付けブラインド」を日本で展開し、日光を利用して生活を快適にする「サンライトマネージメント」を提唱するオスモ&エーデル社に話を聞きました。
今回紹介する技術と製品
ドイツ生まれの外付けブラインド「ヴァレーマ」ブラインド
夏の強烈な日射しは室内ブラインドやカーテンで遮っても、窓際で熱を発生し続けます。室内にこもる熱の解消はエアコンのみに頼ることになり非効率です。この太陽光を窓の外側で遮る合理的な方法が「外付けブラインド」で、環境先進国のドイツでは既にスタンダード。窓の外に影を作り、夏涼しく過ごす日本古来の伝統的な日除け「よしず」「すだれ」にも共通する仕組みの外付けブラインドは、日本の気候風土にぴったりな日射対策です。
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ドイツ発。信頼のブランド『ヴァレーマ』を日本で展開。
専務取締役
白田 正芳 氏
当社は、ドイツ・ヴァレーマ社の外付けブラインドや、同じくドイツ・オスモ社の塗料・フローリング・エクステリア、そしてイタリア・フィンストラル社の樹脂サッシなどを取り扱っています。日本全国で営業展開していますが、特に札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡には営業所・ショールームを設けています。
中でも注力しているのが、ドイツ・WAREMA(ヴァレーマ)社の「外付けブラインド」です。ヴァレーマ社は1955年に創業された、世界最大級の日除け装置の総合メーカーです。従業員は3,500名、売上高は400億円を越え、ブラインドに使われるプラスチックの製造から、制御装置、またそれらの製造機械まで「すべて内製」で行っているのが大きな特徴です。同社の売上の70%は「外付けブラインド」で、その80%がドイツ国内での販売になります。他にも、プラスチック製造の技術を活かし、医療機器や自動車業界にも部品を供給しています。
ヴァレーマはいわゆる老舗ですが、今でもこの分野のパイオニアでありつづけています。壊れにくく、修理しやすく、そして自由度が高く設計者が使いやすい。価格も相応ですが、それでも多くの指示を集めるだけの品質・ブランドイメージを兼ね備えています。
外付けブラインドで、省エネと快適な室内空間をつくる。
『ヴァレーマ』の外付けブラインドを
使用した住宅
豊富なデザイン性
日本では、すだれやよしずは見かけるものの、窓の外にブラインドが付いた光景は見かけません。当社が外付けブラインドを取扱い始めた当初は、風や汚れはもちろん、輸入品であることからメンテナンス体制への不安の声を多く耳にしました。しかし取り付けから1年後のアンケートでは、多くのお客様から満足の声を聞くことができ前述のような不安は払拭されました。また、昨今は「省エネ」「断熱」「遮熱」の重要性から肯定的な反応が増え、結果、多くのお問い合わせをいただけるようになってきています。
外付けブラインドの最大の利点は、高い断熱・遮熱性によるエアコンなどの消費電力の削減です。室内のブラインドを使用した場合、約80%の太陽光が室内に流入します。これにより窓とブラインドの空間にある温まった空気により室内温度は上昇します。結果、冷房の効率が下がり、無駄な電力を消費してしまいます。夏に、窓際は暑いけど部屋の奥は寒いという経験をされた方は多いと思いますが、こういったことが理由です。
これに対して外付けブラインドは、太陽光の室内への流入を20%以下に抑えるのと同時に、窓とブラインドの間の空気が対流して屋外に拡散されます。これにより夏場の冷房の効率を上げ、最大で約45%の省エネ効果を発揮します。冷房の稼働率で比較した場合、日除けのないシングルガラスを100%とすると、外付けブラインドを使用することで、その消費電力を最大25%まで抑えることが可能になります。
その他、目隠しとしても利用できるので開口部の大きな窓を使った住宅の設計も可能になります。また、スラットは幅の広さに応じて最大26色から選ぶことができ、カバーパネルやガイドレールなどの金属部分は約200色から指定することができるで、建物のデザイン性も広がります。
太陽光の流入イメージ
住宅だけでなく、オフィス・学校などでの需要が増加。
中野セントラルパーク サウス(東京都)
養護施設(東北地区)
外付けブラインドの販売を開始した当初は、オスモ社の塗料販売で実績があった戸建住宅分野と親和性が高いと考えていましたが、実際はオフィス・病院・学校・公共施設などの需要も高く、新築・リフォームを問わず多くの施工実績があります。
たとえば、東京・中野「中野セントラルパーク サウス」や、横浜にあるドイツ・ボッシュ社のビルなどでは当社が取扱う外付けブラインドが採用されています。
また、病院・養護施設などでは、窓際と内側での温度差により体調を崩してしまう患者や入所者がいて悩んでいるところが多く、ヴァレーマの外付けブラインドの導入によりエアコンを「弱」で運転していても部屋の温度が均一になり快適に過ごしていただけるようになりました。保育園・学校・体育館・複合施設など、公共の施設での実績も増えてきています。
天候や風、日射に応じて開閉角度を自動制御。
外付けブラインドの価値はもっと向上する。
『日射導入システム』
上部で採光し、下部で影をつくる
『クリマトロニック』
イメージ図
オフィス分野については、自動制御システムの提案を積極的に行っています。『ヴァレーマ・モバイル・システム』はリモコンで簡単に操作できるのと同時に、陽光風力センサーを外壁や屋根に設置し、朝夕に自動昇降したり、強風時に自動でブラインドを収納することができます。
また、『日射導入システム』は自然光を間接照明として利用するもので、単に太陽光をカットするのではなく、上下パートに分けたスラットの角度を変えることで、日射しの一部を室内に取り入れ、天井に反射させて室内を明るく照らすことができます。オフィス等で、空調コストだけでなく、照明コストの削減も可能になります。
最後に『クリマトロニック』は太陽の動きを自動で追尾して、太陽の位置に応じてスラットの角度を自動で制御します。自動でスラットを最適な角度に調整ができるので、省エネ効果と快適性が向上します。
既に全国での採用実績がありますが、今後は、ブラインドの提案はもちろん、このようなシステムの導入なども含めた太陽光のマネージメント「サンライトマネージメント」も提案していくことで、省エネかつ快適な室内空間を提供していきたいと考えています。