感染症予防、バリアフリー、省エネ問題を解決する自動ドア
掲載開始日:2014-07-25 00:00:00.0
「小さな子供や高齢者、体に障がいのある方々を含めたすべての人が、同じ条件で、ストレスを感じることなく、安全に移動できる環境を作りたい。そのためにも“すべてのドアを自動化する”ことが当社の目指すゴールです。」
こう話すのは、自動ドア大手の日本自動ドアの吉原 二郎社長。「安全」を軸に感染症予防・バリアフリー・省エネの3分野に注力する同社の取り組みについて聞きました。(聞き手:イプロス編集部)
今回紹介する技術と製品
安全を追求する自動ドアの老舗・日本自動ドア
日本自動ドアは、昭和41年創業の自動ドア開閉装置の老舗メーカー。自動ドアと関連装置の企画から設計、製造、販売、保守・メンテナンスまですべて自社で行っています。「安全」をキーワードに、感染症予防、バリアフリー、省エネに適した製品・サービスの展開に力を入れています。
この記事で紹介した製品の関連資料がダウンロードできます。
急激に技術進化が進む自動ドア。「安全」をキーワードに事業を展開
吉原 社長
――最近の自動ドア事情をどう見ていますか?
1966(昭和41)年の創業以来、ずっと自動ドア開閉装置の技術開発を行ってきましたが、最近の自動ドアの高機能化、精密化、対防犯の技術進化は目を見張るものがあります。例えば、妊婦や年配者、身体障がい者の方々のためのトイレの自動化をはじめ、機密を扱う研究室への個人判別機を使ったオートロック式の自動ドアなど、細かなニーズに合わせた特殊な分野に広がり始めています。
――そんななか、御社ではどんな取り組みを行っていますか?
自動ドアの最も大きな市場は「店舗向け」です。しかし最近は、通信販売の隆盛や個人商店の廃業などによってリアルの店舗は減りつつあります。
それに代わって最近伸びているのが、上述のような特殊用途です。これまで自動ドアを使うことを想定していなかった場所や用途、目的で使われる例が増えてきています。当社は「安全」をキーワードとして、「感染症予防・バリアフリー・省エネ」の3分野に新たな注力分野として取り組んでいます。
ウイルスの感染拡大はトイレから。自動ドアでドアノブに触れずに感染症予防
感染症を予防する
公衆衛生自動ドアシステム
――感染症予防とはどんなものですか?
感染症の拡大を防ぐための「トイレの自動ドア化」のことです。
インフルエンザやノロといったウイルスに感染している人と、感染していない人が共通して必ず触れる場所がひとつだけあります。それが「トイレのドアノブ」です。
感染症が広がるハブ(中継点)の最も大きな場所はトイレです。感染した人がトイレに入り、便や吐しゃ物を処理した後、ドアを開けます。その時、ドアノブにウイルスが付着し、次の人は何も知らずにドアノブに触れて感染します。それが次の人へとずっと続いて感染が広がっていきます。
トイレに自動ドアを導入し、ドアノブに手を触れなければ感染症の拡大を防ぐことができます。現在、当社はそれに対応した製品開発と営業活動を進めています。
――具体的にどんな製品を開発していますか?
洗面台、蛇口、石けんの泡や消毒液が出るディスペンサなどと、トイレのドアが連動したシステムです。用を済ませた後、手を洗わないとドアが開かない自動ドアシステムを開発しています。
昔から病院の手術室では、執刀医の手に菌がつかないようにセンサが足を検知してドアが開くフットスイッチ式の自動ドアが使われてきました。今度の製品は、病院や介護施設など院内感染に注意が必要な場所からはじめ、もっと実生活に近いレベルまで普及させていきたいと思っています。
障がいのある方、高齢者、お子様連れの方、子供が快適な空間へ。ストレスフリーの自動ドアを
自動ドア業界で初めてCSD認定を取得
――バリアフリーに関してはどんな取り組みをされていますか?
手動ドアから自動ドアへと置き換えていくこと自体でバリアフリーに近づきます。単に製品を製造して販売するだけでなく、さまざまな方面から自動ドアの良さを知ってもらう活動を行っています。
これからの時代、高齢者とお子様連れの方、子供、障がいのある方々がストレスなく訪問し、滞在できる場所が盛り上がっていきます。しかし実際には、多くの施設ではそのための整備がまだ進んでいないのが現状です。
例えば、多くの場所でタッチスイッチ式の自動ドアが採用されているのを多く見かけます。しかしタッチスイッチ式は、車いすの方やベビーカー利用者、子供は押しづらいケースがあります。当社でタッチスイッチ式の自動ドアを設置する場合、NPO法人全国自動ドア産業振興会の定める安全基準に沿ってどなたにも利用しやすいようにタッチスイッチの取付け位置(高さ)、閉鎖速度、開放時間について配慮しています。
また、車いすは段差が3cmあると上ることができません。せっかく自動ドアを設置しても、その段差があるだけでムダになってしまいます。 だからと言ってスロープを付けるには大きな費用がかかります。
それに対し、携帯用折り畳みスロープの販売も手がけています。当社が扱っているのは、一般社団法人ランプアップいわてが製造する製品で、東日本大震災の被災地である岩手県陸前高田市の職人の手作りで作られています。バリアフリーと復興の支援になり、全社を挙げて取り組んでいます。
ほかにも、スライド式自動ドア開閉装置について、自動ドア業界では初めてCSD(Child Safety through Design)認証を取得。さらに、当社が主体となってNPO法人全国自動ドア産業振興会を立ち上げました。ここでは福祉施設などに自動ドアを寄付し、非常に喜んでいただけています。
コンビニの自動ドアでも年間の電気代は2000円弱。自動ドア化で生活が変わる
太陽光自動ドアシステムなど
新製品開発に注力
――省エネに関してはいかがですか?
自動ドアは消費電力が大きいというイメージがありますが、実際はそんなことはありません。頻繁に開閉するコンビニの自動ドアでも1日あたり最大5円程度、年間でも2000円いきません。ドアを閉め忘れると電力の40%以上が消費され、そちらの方がムダです。自動ドアで確実に開閉する方が省エネになることをもっと周知していきたいと思っています。
――今後の展望を教えてください。
製品としても、安全にこだわった製品ラインナップを増やしていきます。感染症を防ぐ公衆衛生自動ドアや、災害で停電した場合でも動く太陽光発電付き自動ドアシステム、停電で閉じ込められた時、子供でもドアを全開にできる閉じ込め防止の災害時フルオープンドアなど、これからますます人命に関わる機能を強化した製品を開発し、発売していきたいと考えています。
自動ドアは、身近にあり過ぎてなかなか変化に気づきにくいものです。でも実際には、手動ドアから自動ドアに代わって便利さが増しています。快適な社会生活のために自動ドアがどれだけ役に立っているかの理解をもっと広げていきたいと思っています。
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取扱会社
○自動ドア開閉装置(店舗・ビル) ○特殊自動ドア装置(家庭・産業) ○自動ドア用スイッチ ○防犯警備機器・強化ガラスドア ○ステンレスフロント・アルミフロント ○国土交通大臣認定防火設備自動ドア開閉機構