地震の揺れ最大70%吸収&90年間ほとんど劣化ナシの制震ダンパー

掲載開始日:2013-03-12 00:00:00.0

耐震・免震・制震と地震対策にはいくつか種類がありますが、戸建住宅で急増しているのが“制震”です。住友ゴム工業(兵庫県神戸市)は、世界最高レベルの難しさと言われる“橋の揺れの抑制”で培った制振技術を、一般住宅向けに開発した『MIRAIE[ミライエ]』を展開中。地震の本震・余震も含めた対策ができるとして、すでに大手ハウスメーカー向け共同開発品で数万棟の実績があり、さらに地域のハウスビルダーや工務店でも“低価格で確実な地震対策ツール”として急速に評価が高まっています。そんな注目の制震システムについて制振事業推進部 松本 達治 ビジネスチームリーダーに話を聞きました。

高減衰ゴムを採用した制震ダンパー「MIRAIE(ミライエ)」

今回紹介する技術と製品

高減衰ゴムを採用した制震ダンパー「MIRAIE[ミライエ]」

優れたエネルギー吸収性能を持つ高減衰ゴムを使い、地震の揺れを最大で70%吸収*1。ダンパー設置数を最小限に抑え、大変お買い求めやすい価格で導入できる制震ダンパーです。

地震対策で本当に怖いのは、ダメージを受けた住宅へさらに追い打ちする『余震』

制震事業推進部 松本 達治 ビジネスチームリーダー

制振事業推進部
松本 達治 ビジネスチームリーダー

震災を機に住宅の耐震性に関する関心が高くなり、日本の一般住宅のほとんどを占める木造住宅でも地震に強い安全な家づくりが進んでいます。しかしながら、その耐震基準の考え方は最初の大きな揺れである“本震”を想定したもので、その後に繰り返し発生する“余震”までは考慮されていないのが実情です。

住宅は地震で強い負荷を受けるとそのダメージを内部に蓄積します。巨大地震の場合は、その後も強い余震がダメージを負った住宅に連続して襲い掛かります。実際に2007年に発生した新潟県の中越沖地震では、本震では大丈夫だった住宅が、その後2時間で10回以上も発生した震度5以上の余震によって耐力を失った住宅の多くが倒壊したと言われています。
今回ご紹介する『MIRAIE(以下ミライエ)』は、揺れを吸収して住宅内部に蓄積されるダメージを低減する“制震”技術を活かし、本震と余震も含めた対策ができる住宅用制震ダンパーです。

高減衰ゴムで揺れを最大で70%吸収*1
90年はほとんど劣化しない長寿命*2。しかも低価格

実大振動台実験

最大70%の揺れ幅の吸収を実証

最大70%の揺れ幅の吸収を実証

ミライエは、建物の土台と梁の間に固定し、当社が開発した“高減衰ゴム”で揺れのエネルギーを最大で70%吸収*1し、住宅の損傷を低減します。揺れのたびに吸収してダメージの蓄積を抑えるので、本震はもちろん、繰り返しの余震にも効果を発揮します。これらのデータはすべて振動台実験により確認しています。

同じような制震技術にはオイルダンパーもありますが、年が経つと内部のオイルが滲み出るという難点があると言われています。これに対してミライエの高減衰ゴムは、90年という長い経年耐久性*2で半世紀以上も性能がほとんど変わらず、一回取り付けるだけで定期的なメンテナンスがいりません。

しかも、少ない設置数でありながら最大で70%の揺れを低減する制震効果*1を得ており、低コストで効果の高い地震対策が可能になります。

最も難しいと言われる“橋の揺れを抑える”技術を住宅用に展開

国内外の橋で高減衰ゴムを採用

ミライエはもともとは橋梁ケーブルの風揺れ対策として使われていた高減衰ゴムによる制振技術を住宅用に改良したもので、その効果は折り紙つきです。

ケーブルの揺れを抑えるのは土木業界でも難しい技術と言われています。ケーブルは風揺れや自動車、電車などの振動で日常的に揺れにさらされており、それ自体が巨大構造物で重厚なのでエネルギーも相当大きなものになります。当社は国内では長崎県の女神大橋、愛知県の名港西大橋、海外でも韓国のインチョン大橋、アメリカやスペイン、マレーシアや香港などでも高く評価され、国内外で60橋以上の採用実績があります。このほかビルや高速道路の橋桁など巨大な建築物にも数多く採用されています。

2度の大きな被災体験を糧に。地震対策の技術を磨き、普及に努める

高性能だから設置数も最小限でOK

2人以上で施工も簡単

当社は1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災という2回の大きな地震で本社と工場が被災し、多くの被害を受けました。その教訓から会社として『地震への備えの重要性』を痛感しており、より安全な住宅づくりに貢献するために制震技術を磨き、普及に努めてきました。

すでに大手ハウスメーカーには当社の高減衰ゴムを活用した制震技術が多く採用されており、数万棟という単位での出荷実績があります。とは言え、日本の住宅着工のうち、大手ハウスメーカーが手掛けているのは20%程度で、80%は地域のハウスビルダーや工務店によるものです。当社は現在、こうした地域のハウスビルダーや工務店に向けたミライエの提案に力を入れています。

地震の多い日本では必ず地震対策が必要です。車のエアバッグは当初、高級車のオプションでしたが、いまでは標準採用が当たり前となりました。ミライエも同じように、すべての家の標準品として地震被害を最小限に抑えられるよう普及に努めていきたいと思っています。

*1:実大振動台実験の結果による。
*2:促進劣化試験の結果による。

取扱会社

住友ゴム工業株式会社

タイヤ(自動車用、建設車両用、農耕機用、産業車両用、レース・ラリー、 モーターサイクル用、新交通システム用)、アルミホイール、精密ゴム部品、 印刷用ブランケット、制振ダンパー、防舷材、可撓継手、塗り床、舗装材、 人工芝、ゴム手袋、介護用品、ゴムホース


成功事例